堕落部屋
わたしのてもとにある一冊の写真集。
川本史織の「堕落部屋」。
すこし偏りはあるがさまざまな職に就いているおんなのこたちの部屋を写したものが収められている。
そんでもってほとんどすべてのおんなのこたちの部屋は乱雑。
たくさんの洋服がくちゃくちゃのままポールに無造作に掛けられていたり、床に放り出してあったり。
飲みかけのペットボトルに食べ終えたお皿がつくえの上に。
実家に住み着いている、すこしハズれたおんなのこたち。
物が多く、物凄い生活感が一見あふれているようにみえる。しかし、所謂ふつうのインテリア誌にでてくるような、ごくごくふつうのひとたちが憧れるようなセンス良く片付けられた部屋より、圧倒的な生活感の無さをわたしは感じた。
「人はパンのみでは生きられない」とだれだかが言ったが、彼女たちにあるものの大多数が「パン以外」のもの。
むしろパンを探すほうが困難だ。
ぬいぐるみや小学生のおんなのこが遊ぶようなキラキラのおもちゃは、「パンなんかいらない、お菓子だけで生きていけるもん」とマリー・アントワネットを地でいくような彼女たちの生きる姿勢そのものだろう。
で、なんでわたしがいちぶのひとから眉をひそめにひそめられるようなこの本が大好きかというと、程度の差こそあれ、わたしも堕落部屋の住人だからだ。
成人しても実家に住み着き、「真っ暗はこわいから」という理由で両親のおカネで電気を点けっぱなしにして眠り朝を迎えるような「ダメな子」であり、でもそんな自分が決してキライではない救いようのない「ダメな子」であるからです。はい。
「現実を見なきゃいけないよ。いつまでもそんな夢みててどうするの」とバリバリ働く友だちに叱咤され、しかしなおかつ「お菓子が食べたい」とよだれを垂らしてしまうダメな子はこの本を読みましょう。活字アレルギーの子も安心、ほぼ写真だけだから。
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